健康豆知識

2009年4月、メキシコで豚インフルエンザが流行


 インフルエンザウイルスは細菌でなくウイルスである。

 ウイルスとはその本体のみでは生きていくことができず、他の生物の細胞に乗り移り、遺伝子(DNAあるいはRNA)を転写させることで生き延びる。他の生物の細胞を宿主と言い、宿主に乗り移ることで増殖を続ける。さらに宿主を破壊し、ウイルスは宿主から外にとび出す。この繰り返しでウイルスは感染・増殖を繰り返す。

 インフルエンザウイルスは人畜共通感染症で、豚や鳥類に感染することが知られている。人への感染は鳥インフルエンザが遺伝子変異して感染することが多い。

 ウイルスにはA、B、C型の3タイプがあり、このうちA型とB型が人インフルエンザの原因となる。
 A型は変異を繰り返し、病原性として問題となる。ウイルスの表面にはHAとNAという抗原があり、HAは16種類、NAは9種類発見されている。問題はその組み合わせにより亜型が存在し、遺伝子の変異により常に姿形を変えて感染を繰り返すという点である。

 現在、鳥インフルエンザウイルスは20種類ほど発見されている。H1はAソ連型、H3はA香港型と言われている。そしてH5、H7、H9は毒性は高く、致死率は60~70%と言われている。ただしまだ人への感染力は低い。この亜型がいつ変異を起こし、人へ感染しパンデミック(爆発的な感染)状態となるか分からない。

 高病原性の高い新型インフルエンザウイルスであるH5N1は従来のインフルエンザウイルスと違い、呼吸器系のみ感染ではなく、全身の臓器に感染することが知られており、このことで致死率が高くなっている。

 2009年4月24日、メキシコで豚インフルエンザウイルス(H1N1型が中心)が人へ感染し、68名の人が亡くなっている(世界保健機関とメキシコ政府が発表)。まだ亜型までは確認されていないが、今後パンデミックとなる可能性が極めて高いと考えられる。早い段階でのワクチンの生成と接種を広めるべきである。

 インフルエンザウイルスの感染経路はくしゃみ・咳などの飛沫感染で、経口・経鼻で呼吸器感染を起こす。潜伏期間は1~2日程度、症状は悪寒、発熱、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛、咽頭痛、鼻汁、鼻閉、咳、痰や腹痛、嘔吐、下痢などの消化器症状を起こすこともある。何しろ急激な発症で発熱も通常は39°~40°と高熱が多い。肺炎、インフルエンザ脳炎の併発もある。

 このような症状を認めた方は最寄りの医療機関にて簡易的なインフルエンザ検査を受けていただきたい。現在は感染が認められれば内服薬(タミフル、リレンザ、シンメトレル)が処方される。しかし大切なのは感染の予防である。
 手洗い、うがい、マスク着用を積極的に行い、部屋の中は湿度を50~60%程度の保ちこまめに換気を行うことが良いとされている。
 また予防接種としてインフルエンザワクチンの接種は絶対である。しかし現在一般化されているワクチンはAソ連型(H1N1)、A香港型(H3N2)、B型の三種類の混合ワクチンであり、新型インフルエンザが発生した時にはあまり効果は少ない。そこで現在はH5N1に対するワクチン、プレパンデミックワクチンが開発された。試験的に昨年6000人規模で医療従事者に接種された。しかしこの製造は全く需要に追いついていない。

 実際にパンデミック状態になった時初めて、その亜型が同定され、ワクチンが製造される。しかしそれには半年もの期間が必要になる。それまで発症を遅らせる効果としてワクチンや内服薬に頼るしかない。ただその備蓄量も十分とは言えないのが現実である。なにしろ今は自己管理のもと予防に徹するしかない。そして政府・厚生労働省の指示を待つしかない。

メタボ検診の落とし穴


 本年4月1日より特定検診制度が開始となりました。メタボ検診と言われておりますが、このメタボリックシンドロームとは!どのようなものなのでしょうか?そしてこの検診制度に問題点はないのでしょうか?

 メタボリックシンドロームとは、肥満による内臓脂肪の蓄積が、高血圧、糖尿病、高脂血症をひきおこし、動脈硬化を進行させる病気で、2005年4月に日本内科学会を中心とする8学会が日本における診断基準をまとめました。
 内臓脂肪に伴う高インスリン血症や、脂肪組織ら分泌されるアディポサイトカインのバランスがくずれることが原因と考えられております。内臓脂肪が多いと、高血圧、糖尿病、高脂血症などの程度は軽くても、心筋梗塞や脳梗塞のリスクは急激に増大すると言うものです。確かに概念としては正しいものとして世界各国でも提唱されておりますが、この日本での診断基準を特定検診に活用しようとすることに無理があるように思われます。
 以下が診断基準ですが、このウエスト男性85センチ、女性90センチ以上という診断基準が本当に日本人に適切な長さなのか今現在も不明です。世界保健機構WHOでは日本と同じ長さですが、ヨーロッパのEuropean Group for the Study of Insulin Resistanceは男性94センチ、女性80センチです。アメリカのAmerican Heart Associationでは男性102センチ、女性では88センチです。
 このように世界各国でまちまちでありながら、4月1日より厚生労働省主導で開始となった特定検診ではWHOの診断基準に基づいて検診が開始になりました。
 はたしてこのウエストの長さが日本人にあっているのか非常に疑問であり、それを直ちに検診にあてはめることの大きな疑問を感じると同時に、このメタボに診断されると6ヶ月毎の保健指導があり、これが更新制となっているのです。確かに生活習慣の改善と生活習慣病の予防は大切です。しかし医療費を抑制することが目的で、我々の体型まで国が関与してくることに大きな疑問と憤りを感じてなりません。
  ≪診断≫
   ウエストが男性で85センチ、女性で90センチ以上。
   さらに以下の3項目のうち、2項目以上当てはまる場合。
   1.最高血圧が130以上か、最低血圧が85以上。
   2.空腹時の血糖値が110以上。
   3.中性脂肪が150以上、またはHDL-コレステロールが40未満
   (診断基準竏駐坙{内科学会 2005年)

脳卒中について


 先の下野新聞に栃木県の脳卒中死亡率は全国女性1位、男性3位という記事が記載されておりました。
 脳卒中とは脳梗塞、脳出血そしてくも膜下出血の総称です。この内訳は脳梗塞が65%、脳出血25%、くも膜下出血10%と言われております。栃木県がこの脳卒中の死亡率が高いのはいろいろな原因が考えられます。
 1 塩分の取りすぎによる高血圧の人が多い。
 2 秋冬の気候で、昼間温かく、朝夕の気温が異常に下がるという、地域的な影響。
 3 脳卒中の家系が多い。
 4 高脂血症の患者さんが多い。
 5 運動不足の人が多い。
 などが考えられます。その中でも温暖の差については特に入浴時の注意が必要です。温かい部屋から、室温の低い脱衣所での着替えた場合、突然皮膚温が下がります。そのため血圧は急激に上がり、そして湯船に入ると突然皮膚温が上がり、血圧が下がります。この様な皮膚温の上下による血圧の上下は脳卒中の発症を促すと言われております。是非冬場の入浴は気を付けてください。

 脳卒中の危険因子は生活習慣から来る

 生活習慣とは喫煙、飲酒、運動、ストレス、塩分過剰摂取、脱水、遺伝的要因などを指します。そして悪い生活習慣が生活習慣病を引き起こし、最終的には動脈硬化から脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)を起こすと考えられております。もちろん生活習慣病とは全く関係のない一部の脳卒中もありますが、やはり生活習慣病が強くに関係していると言えるでしょう。
 従って脳卒中、心筋梗塞などの血管病はこの生活習慣病を治していくことが予防にとって大切であり、生活習慣病にならない、生活習慣を身につけることが最も大切と考えられます。特に脳卒中において最も関係の深い生活習慣病は高血圧です。長期間にわたり血管に対し、高い圧力がかかると必ず血管は固くなり弾力性が欠如しさらに動脈硬化が進みます。このような血管は内腔が狭くちょっとのことで直ぐ閉塞し、脳梗塞を発症します。さらにこの硬い血管に負担がかかれば血管は破綻し、脳出血を起こします。
 従って高血圧に関してはとても慎重に治療する必要があります。収縮期血圧と拡張期血圧ともに、140/90mmHg未満に下げることで、心血管の合併症を減らすことができます。